ラリック 花瓶 アリゼ
( Lalique Alizé Vase )
縦に流れるひだが、わずかにねじれます。磨かれた稜線が光を拾い、隣のサテン面へ影を渡していきます。
フランスのクリスタルメゾン、「ラリック」の花瓶です。作品名はアリゼ(Alizé)です。「エア・ド・ラリック」のコレクションに属する、現代のデザインです。
布のドレープのように揺れる線を、サテン仕上げと再研磨の対比で立ち上げています。
ひだは等高線のように胴を巡りながら、ところどころで向きを変えます。クチュールのプリーツに近い規則正しさと、風にゆだねたゆるさが同居しています。サテンの谷に光が入り、磨きの尾根だけが白く跳ね返ります。
ラリックは、艶消し(フロステッド/サティナージュ)と透明な面の対比によって、光をクリスタルの内部にこもらせる表現を得意としています。創始者ルネ・ラリックはアール・ヌーヴォーの宝飾からガラスへ転じ、今日のメゾンはフランスでクリスタルを手仕事で仕上げ、その技法を受け継いでいます。
中サイズのクリアは、高さ38センチ、胴径22センチ前後、重さ約4キロとされます。サイズ展開があり、同じモチーフが小ぶりな胴や大きな体積でも繰り返されます。体積が増えるほど、ひだの影の帯が太く見え、布の厚みに近づきます。
コーラルのパティナをのせた個体では、ひだの谷に淡い色がたまり、クリアよりも輪郭が早く読めます。色が主張しすぎず、風の気配を保ったままトーンだけが変わります。
神話の人物や動植物の浮き彫りとは違い、抽象のドレープが前面に出ます。それでもサテンと磨きのやりとりは、ラリックが長いあいだ育ててきた光の扱いにつながっています。
[出典]Lalique — Alizé Vase(Air de Lalique)


































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