島津薩摩切子 二色衣 25 周年 花瓶「輪舞」
( Shimadzu Satsuma Kiriko Nishikie Vase Rondo )
口元の透明が、下へ向かって赤に、さらに深い瑠璃色に沈んでいきます。赤から瑠璃色へ移るところに、境目の線はありません。
鹿児島の島津興業がつくる「島津薩摩切子」の、二色衣(にしきえ)25 周年 花瓶「輪舞(ロンド)」です。色はルリ金赤(瑠璃と金赤の二色)で、高さは 18 センチ、直径は 8.5 センチです。価格は 297,000 円(税込)で、受注は 2027 年 3 月末までとされています。
薩摩切子は、透明なガラスに色ガラスを 1〜5 ミリほど厚く被せた「被せ(きせ)ガラス」に、カットを入れてつくります。削った深さによって色の厚みが変わり、その濃淡が「ぼかし」と呼ばれるグラデーションになります。二色衣は、2 色の色ガラスを重ねた生地をカットするシリーズで、2001 年に発表されました。
冒頭の写真で全体を見ると、器は上から五つの段に分かれています。細かな星形のカットが一面に並ぶ帯、縦長の菱形の帯、斜めの刻みが巡るふくらんだ帯、透明な輪、そして濃い瑠璃色の台です。
口元に寄ると、縁のすぐ下には縦の短いカットが一列に並びます。その下では、細い線が斜めに交差して網目をつくり、交点ごとに星形の小さなカットが入っています。
網目のすき間には、六角形に見える小さな面が残り、そこだけ色が濃くのぞきます。上のほうは透明に近く、下るにつれて網目の奥が赤く染まり、さらに紫がかった瑠璃色へ移ります。
下半分に寄ると、星形の網目は下へ行くほど目が粗くなり、大きな X 字の交差に変わります。その下で、縦に長い菱形がすき間なく並ぶ帯が始まります。菱形の縁は赤く光り、中心は濃い瑠璃色に沈みます。
その下のふくらんだ帯には斜めの刻みが巡り、帯の上の縁には赤い線が一本走ります。さらに下の透明な輪には水平の線が数本入り、いちばん下の台は、側面にカットを入れずに瑠璃色のまま残されています。
横に寝かせて口の側から見ると、外側のカットが壁越しに透けて見えます。奥へ行くほど瑠璃色が濃くなり、網目や菱形の線が幾重にも交差します。いちばん奥には、底の放射状のカットものぞいています。
底には、瑠璃色の円の中に、中心から放射状に伸びる十数枚の花弁のようなカットが入っています。そのまわりを透明な輪が白く光って囲み、外側では赤と瑠璃色の筋が交互に並びます。
公式は、幾重にも刻まれたカットが光を受けて円環をなすさまを、優雅なロンドにたとえています。
島津薩摩切子の公式サイトによれば、薩摩藩でのガラス製造は 1846 年、島津家 27 代当主の島津斉興のときに始まりました。1851 年に 28 代の島津斉彬が藩主になると事業は大きく伸び、美術工芸品としての薩摩切子が生まれました。日本で初めて発色に成功した紅色は「薩摩の紅ガラス」と呼ばれたといいます。
しかし 1858 年に斉彬が急逝し、1863 年の薩英戦争で工場は焼失しました。薩摩切子の製造は、1877 年の西南戦争の前後に途絶えたとみられています。復元が始まったのは、それから百年ほどのちの 1985 年でした。
公式によれば、現在の島津薩摩切子はクリスタルガラスです。1800 年代の薩摩切子は酸化鉛を 45% 含んでいましたが、復元にあたって 25% 未満に改良されています。使う原料が色ごとに違うため、価格も異なります。
[出典]島津薩摩切子 — ブランドストーリー/島津薩摩切子 — 魅力・特徴。
































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