高橋工芸 Kami グラス ワイド

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高橋工芸 Kami グラス ワイド ( Takahashi Kougei Kami Glass Wide )

( Takahashi Kougei Kami Glass Wide )

口の縁は、細い一本の線です。木の器なのに、胴は紙コップのようにまっすぐ開いています。

北海道・旭川の木工所「高橋工芸」の木のグラス、Kami グラス ワイドです。北海道産のセンという木をロクロで挽き、厚みはおよそ 2 ミリに仕上げています。公式は、灯りにかざすと透けるような薄さから Kami と名付けたと記しています。

高橋工芸は 1965 年、挽き物師の高橋昭一が旭川で始めました。はじめは家具の脚などを挽き、1980 年代からロクロ挽きのカップやシュガーポットをつくるようになったとあります。Kami グラスを形にしたのは、2009 年から二代目の代表を務める高橋秀寿です。

大きい順に横一列に並べた Kami グラス ワイドの 6 つのサイズ

大きさは SS から 3L まで 6 つあります。公式の寸法では、いちばん小さい SS が口径 6.8 センチ、高さ 7.8 センチで、容量は 170 ミリリットルです。いちばん大きい 3L は口径 9.7 センチ、高さ 10.7 センチで、450 ミリリットルです。

6 つを並べると、どれも口が底より広く、胴はふくらまずにまっすぐな線で開きます。木目の出方と色の濃さは、一客ずつ少しずつ違います。

胴の正面に山形の木目が重なって浮かぶ一客

この一客では、胴の正面に山形の木目がいくつも重なって浮かびます。最初の写真の一客は、正面に細い縦の木目がまっすぐ並んでいました。形は同じでも、木目の見え方はまるで違います。どちらにも模様や彩色はなく、表に見えているのはセンの木目だけです。

横に寝かせた Kami グラス ワイドの、口と内側

横に寝かせて口の方から見ると、縁は外の面から内の面までひと続きの細い線で、角はわずかに丸く見えます。内側の面にも、外と同じように細い木目の筋が通っています。

縁の線の太さは、ぐるりと一周ほとんど変わりません。この写真では、内側は外よりはっきりと赤みの強い色に写っています。

底を手前に向けて横たえた Kami グラス ワイド

底は平らな円で、縁はわずかに丸く落としてあります。底をまっすぐ横切る平行な木目は、側面へ回ると大きな山形に変わります。一枚の木の筋が、器をぐるりと包んでいるように見えます。

寄せて置いた大きさの違う 6 つの Kami グラス ワイド

寄せて置くと、手前中央の小さな一客には、尖ったアーチ形の木目が正面に縦に立っています。隣り合う一客どうしでも、木目の向きはそろっていません。取っ手も脚もないので、目に入るのは木目の違いだけです。

高橋工芸の沿革インタビューによれば、試作は 2003 年に始まりました。きっかけは、佐藤裕見(Craft & Planning)から「曲げわっぱのように薄い木でグラスがつくれたら面白い」と言われたことでした。はじめは 0.9 ミリの薄さを目指しました。ところが 1 ミリ少しまで削ると器が柔らかくなり、塗装してもすぐに割れてしまったそうです。そこから少しずつ厚みを足し、使ってもらえる厚さとして落ち着いたのが 2 ミリです。形になるまでに 2 年ほどかかったとあります。

2005 年に発表した当初は、手に取った人に「これ木なの?」と驚かれるだけで、ほとんど売れなかったそうです。注目されるきっかけになったのは、2007 年に D&DEPARTMENT が企画した「NIPPON VISION」でした。のちにシリーズのデザインに加わった大治将典は、木らしくない形をあえてつくるからこそ、木とは何かが見えてくる、と語っています。

素材はセン、仕上げは食器用のポリウレタン塗装です。公式は、電子レンジと食器洗浄機の使用、長時間のつけ置き、沸騰した直後の熱湯は避けるよう記しています。

[出典]高橋工芸 — Kami グラス ワイド/高橋工芸 — 沿革インタビュー。

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