ニンフェンブルク 磁器人形「りんご売り」
( Nymphenburg Porcelain Apple Seller )
りんごを盛った樽に右腕をのせ、もう一方の手で一つを差し出しています。顔は、差し出した手のほうへ向いています。
ドイツ・ミュンヘンの「ニンフェンブルク磁器工房」の人形、「りんご売り」です。彩色と釉を施した磁器で、高さは約 15 センチ。公式オンラインストアの日本円表示では、952,900 円(税込、2026 年 11 月時点)です。
工房の創業は 1747 年です。公式は、バイエルン王家の工房として、いまも全工程を手作業で続けていると記しています。この人形は、工房の原型師フランツ・アントン・ブステッリが 1755 年に原型をつくった、物売りの人形の一つです。
冒頭の写真で正面から見ると、女性は低い腰かけに座り、体をやや前に傾けています。右手は樽の上のりんごを一つつかんでいます。
膝は白い前掛けに覆われ、その下から赤いスカートが裾まで落ちています。裾には、黄の松かさ形と紫の格子が交互に並びます。足もとにはピンクの靴がのぞき、樽の手前には小さな円筒形の木の器が置かれています。
差し出した手の側から斜めに見ると、上半身は樽の側へ傾き、顔だけがこちらへ向いているのがわかります。赤いスカートのひだは、腰から台座へ向かって大きく流れ落ちます。
上半身に寄ると、目は青く、唇は赤く塗られ、頬には薄い紅がさしています。麦わら帽子の編み目は細い紫の線で描かれ、つばの縁は緑に塗られています。帽子の横には紫の花が一輪つき、首にはピンクと紫の縞の布が前で結ばれています。
青い胴着の肩ひもには小さな紫のリボン、腰には青いリボンが結ばれています。白い袖は、ひじまでまくられています。樽のりんごは黄色の地に赤みがさし、一つずつ小さな点が打たれています。
背中側から見ると、腰かけているのは木の切り株で、木肌の筋まで描かれています。切り株の下の部分は、アーチ形にくり抜かれています。
胴着の背中には、編み上げの線が上から下まで並びます。赤いスカートは腰の後ろでたくし上げられ、大きくふくらんでいます。帽子の後ろにも、紫のリボンが蝶結びで付いています。
本物のりんごと並べた写真では、台座の形がよくわかります。台座は白地で、縁を金の線が囲み、草の緑が足もとから樽のまわりまで描かれています。
ニンフェンブルク磁器工房の公式サイトによれば、ブステッリは 1754 年 11 月 3 日に人形の原型師として工房に入りました。まもなく原型師の長となり、1763 年に亡くなるまでの約 9 年のあいだに、新しい原型をおよそ 150 点残したといいます。代表作は、イタリアの即興喜劇「コメディア・デラルテ」の人物を写した 16 体で、いまも作られています。
英国のフィッツウィリアム美術館も、同じ原型の人形を所蔵しています(彩色は異なり、赤い胴着に緑のスカートです)。美術館は、ブステッリが 1755 年、当時工房が置かれていたノイデックでつくった物売りの人形の一つだと解説しています。
[出典]Porzellan Manufaktur Nymphenburg — Franz Anton Bustelli/Porzellan Manufaktur Nymphenburg — Apple seller。
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